当店でお取り扱いさせていただいている木の器の中で、高塚和則さんとkinoworkshopさんのお品物はオイルで仕上げた天然木の無垢の器です。時々お客様にオイル仕上げは何が良いのですかと質問を受けます。
木はそのまま塗装をしない状態ですとどうしても表面が乾燥してがさがさとした質感になってしまいます。もちろん木本来に油分は多く含まれているので、そのままお使いしても十分器として機能は果たせます。ただ手触りはやはりオイルを染みこませている物と、特に時間が経つにつれて異なってきます。
オイル仕上げというのは、ウレタン塗装などの化学的な塗装と異なり、木の呼吸を妨げません。ウレタン塗装などは木に塗膜をつけてしまいますので、木は呼吸ができず風合いや色は変わりません。ただし膜ができるので、木に油や水が染みこまず取扱いはとても楽になります。
オイル仕上げは木にえごま油などのオイルを布につけて染みこませていきます。木にオイルが染みこみ、しっとりとした表情に変わっていきます。また染みこませたオイルが木を守ってくれるため水や汚れが付きにくくなります。
ただオイル仕上げは時間が経っていくと表面から乾燥していきます。特に水洗いを頻繁に行なうことによって、木は油分が少なくなり乾燥していきます。そのためウレタン塗装とは異なりオイル仕上げの器は時々オイルを補充してあげないといけません。もちろんそのままお使いしていても割れたり反ったりすることはまずありません。ただ半年に一度位行なっていただくと、やはり表情や質感は格段に良くなっていきます。
オイルの種類ですが私はえごま油を使用しています。オリーブオイルも使っていたのですが、えごま油よりもべたつきを感じます。もちろん擦り込んだ後に乾いた布で余分なオイルを拭き取るのですが、オリーブオイルは拭き取るのに少し時間がかかります。えごま油の方が拭き取りも楽で、擦り込んでいるときの粘りけも少なくさらっとしています。また匂いがあまりないので塗り終わった後も爽やかに感じます。
布は綿などの使い古したふきんで十分ですが、2枚用意して1枚はオイルの擦り込みに、もう1枚はオイルの拭き取りに使います。私はたっぷりとオイルを擦り込んで、余分なオイルを拭き取るように少し贅沢にオイルを使っています。そのため乾いたふきんは2枚用意していますが、様子を見ながら乾燥が少ないようなら少しずつ擦り込んでいただいても問題ありません。各作家さんは最初に十二分にオイルを擦り込んでいただいていますので・・
さくらやウォールナット、くるみやミズナラなど様々な木の種類がございますが、どの木の器もオイルを塗ると本当に喜んだような表情になります。特に彫り目がある器は凹凸や模様が浮き上がって見えてまた美しく見えます。
陶器やガラスと異なり木の器はご自分で手を入れることによって味わい深く、自分だけの器に育っていきます。せっかくですのでお手入れも楽しみながら長くご愛用いただけましたら幸いです。
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