三重県の伊賀で地元の土を使った土鍋を製作している土楽窯さん。伊賀の土は本来耐熱の特徴を持ち古くから鍋などの耐熱品をたくさんの窯元が製作しております。土楽窯さんは当主の福森雅武さんも陶芸家として活躍されていますが、腕のよい職人さんが手仕事で鍋を製作されています。ろくろを廻して作る土鍋は造形が美しく、釉薬も職人さんが丁寧に1つずつ均等に施しているため眺めているだけで楽しくなります。
工業製品が多くなりつつある土鍋ですが、機能性が高い物も多く出回っております。金属の鍋に近い隙間を埋めて作られる土鍋は加熱しても底にヒビが入らず手軽にお使いいただけます。ただし土鍋の本来の良さであるゆっくりと食材に味が染みこんでいき、まろやかで優しい味わいのお総菜にはなりません。
私は土鍋がとても好きでいろいろと使用してきましたが、耐熱の土のみで作られた土楽窯さんの鍋は育てるのに手間がかかりますが、使えば使うほど愛着がわいてくる鍋だと思います。味わいが間違いなく異なりますし、いつまで経っても造形や釉薬の美しさに目を奪われます。
上の写真は織部釜です。ごはん炊きの羽釜になります。普通にガスコンロでお使いいただけます。底が丸くなっているのでお米が対流してむらなくふっくらとしたごはんが炊くことができます。木蓋も雰囲気だけでなく蒸気を適度に吸収してくれます。3合までのお米を炊くことができます。また木蓋のため見た目より軽く、一般的な内蓋付きのごはん鍋より軽いのも魅力的です。弱火で五分、中強火にして沸騰したら13分、最後に5秒ほど強火にして火を消して下さい。その後5分程蒸らして完成です。
上は片手鍋のアメ釉のものです。6寸と7寸のサイズ違いで深さも7寸の方が深いです。6寸は一人鍋にも丁度よく、お味噌汁にも重宝です。7寸は煮込み料理や二人分の鍋にもよいと思います。蓋も木で軽いですし、取っ手があるのは思いのほか便利です。金属の片手鍋のように、野菜をゆでたりするのにも役立つ形です。また釉薬のアメ色がとても美しくて、大事に使いたくなる土鍋です。
土楽窯さんの土鍋は使い始めの目止めが重要です。おかゆを炊いていただきまして、煮えたらそのまま48時間そのままにしておいて下さい。少しこびりついてしまうと思いますが、無理にこすらず水でふやかしながら優しく水洗い後、よく乾かしてからお使いはじめ下さい。最初におかゆを煮ていただくと底に亀裂が入ります。その亀裂によって食材が煮えやすくなり、土の鍋特有の火の入り方が実現します。心配はいりませんので、亀裂が入ったらきちんと目止めができたサインと安心して下さい。
これからは私の個人的な使用感によるものです。最初の1ヶ月から3ヶ月はおかゆや味の薄いうどんなどデンプン質の多い物を作って、底の素地の部分をよく固めてあげて下さい。その後少しずつお味噌汁や味の濃い煮物などを作って様子を見て下さい。
またガスの火口から底までがなるべくなら距離があった方が火の廻りもよく、釉薬に火がかかることもないため理想的です。脚のついた焼網や私は個人的に長時間煮込む際や、強火で煮たりしたいときには辻和金網さんの手付焼網の上に土鍋をのせて使ったりしています。ただし毎回そのような使い方も手間がかかりますし、直にガスコンロに置く方が短時間で煮上がります。そのため以下のような事にご注意いただけますと、土鍋が美しく長くよい状態を維持できます。
・釉薬の部分に火がかからないように強火ではなく中強火で調理して下さい。火のパワーは中強火で十分です。底の素地の部分にだけ火を当てて下さい。
・煮上がった後にすぐに底の素地の部分を水にさらさないで下さい。急冷は土鍋の割れの原因になります。また反対に急に熱くするのもよくありません。最初は3分ほど弱火で火にかけて、その後中強火にしてあげて下さい。
・お料理を入れたまま長い時間保管しないで下さい。数時間は問題ありませんが半日以上置いておくのは匂いもつきますしあまりよくありません。
・水洗い後は水気を拭き取りよく乾かしてください。素地の部分を直接テーブルにつけて乾かすのではなく底を上にしたり、底に箸などをかませて通風を確保してあげると短時間で乾きます。また湿気のある時期などは毎日ではなく一日おきに使うなど工夫していただくとより一層よいです。
いろいろと書き連ねましたが工夫しながら育てていただけましたら幸いです。年々愛着のわいてくる調理器具になっていくことは間違いありません。ぜひ美味しい食卓のお供にご活用下さい。
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