昔は各家庭に普通にあった台所道具の陶製の胡麻いり、ほうろくとも呼ばれています。最近はなかなか見かけなくなりました。小さな荒物道具などを扱うお店が少なくなったこともあると思いますが、忙しい現代で胡麻をする時間もなくなってきているのだと思います。
すりごまも売られていますし、どうしても粒の胡麻を買って自分で煎る手間を考えると二の足を踏んでしまいます。私も家で忙しいときは煎りごまををそのまま摺って使ってしまいます。
時間のあるときに煎りごまや洗いごまを煎って胡麻和えを作ったり、胡麻ドレッシングにしたりしますが、これは本当に味わい深く美味しいです。少し香ばしい胡麻の美味しさに改めて驚きます。私が使用している胡麻いりは土楽窯さんのものです。伊賀の土を使って、耐熱の道具を制作している窯元さんで、美しい鍋や道具が次々と作られています。
上の写真が土楽窯さんの胡麻いりですが、持ち手の一部がアメ釉がかかってアクセントになっている以外は素焼きの品物です。ひだすきやオレンジの色合いもすべて、土と火が作り出す自然な表情です。そのためひとつずつその時々で表情が異なり、味わい深いです。
上の穴から胡麻を入れていただき、持ち手の穴から出していただく構造です。このように使っていただくと、底に胡麻が残ることもなくスムーズに出すことができます。
上の写真の右側が自宅で使用しているもので、左は新しいものです。持ち手の形が以前の丸より現在はだ円になっています。全体的な色合いが使っている内に濃くなってきています。
上は裏面ですが同じように右が自宅で使用しているもの、左が新品です。底が少し焦げ付いています。ガスの炎にかざすように静かに動かしながら煎ってください。煎りごまであれば3分程煎っていただくだけで十分です。洗いごまの場合は10分ほど煎ってください。
私は煎茶にも使っています。少し古くなってしまったお茶を軽く煎っていただくと香りがたち、また違った味わいです。ぜひお試し下さい。
上は辻和金網さんの胡麻いりと並べています。辻和さんの金網の胡麻いりも使いやすい道具です。たくさんの胡麻を煎ったり、短い時間で洗いごまを煎るときにはとても便利です。陶製の胡麻いりはじんわりと優しい煎り上がりに、金網の胡麻いりは香ばしい仕上がりに感じます。また金網の物はナッツ類を煎って使用するのにも便利です。お茶は陶製のものが合っているように感じます。それぞれの用途に合わせてお選びいただけたら幸いです。
忙しい時は難しいですが、時間のあるときにお使いいただければ、普段の胡麻和えが見違えるように美味しい一品になりますよ。
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